自分に関する情報が、思いもせぬ場所で、よく分からない使われ方をされていたら、気持ち悪いです。
これは、世界共通の感覚のようで、Facebookに登録された個人情報が不正利用された問題は、大きな波紋を広げました。企業や政府による個人情報の利用が、よりセンシティブになってきそうですね。
ところで、Facebookは中国で遮断されており、中国人には影響がありませんでした。
誤解を恐れずに書きますが、仮に、中国のユーザーが情報漏出の被害を受けても、特に騒ぎ立てることはしないと思います。プライバシーの感覚が、世界とは一線を画しているからです。
中国では、顔認識機能を備えた監視カメラが、交差点に設置され始めています。歩行者が信号無視をすると、「現場」を撮影し、インターネット上で公開されるのです。
信号無視をしている写真が掲載されるだけではないですよ。昨今の中国で、そんな野暮なことはしません。
顔認識により個人が識別され、顔写真とともに、名前や身分証明書の番号が公開されるのです。
ここまでやるのですから、当然ながら抑止効果は高く、管理体制としては、理想的です。
中国国民はどう思っているのか、については、ニュースにもなっていないことから鑑みるに、問題ないのでしょうね。ちょっと嫌だけど、批判するほどのことではない、ってところでしょうか。
中国政府がこのようなことを出来るのは、国民の許容に加え、身分証明書の発行に際して、必要な情報を一括管理しているためです。その気になれば、住所や電話番号も公開できちゃいます。
そして、個人を確実に識別するための、高い水準にある認識技術が、このシステムを支えているというわけです。
これって、ビックデータと技術、個人情報の無敵連続コンボ。
世界では、Facebookの問題を契機に、個人情報の取り扱いを自重せざるを得ない風潮が生まれています。こんなさらし首みたいなことしたら、トラウマになるクラスのバッシングを受けることは必至ですよ。
対して、中国政府は社会主義国家の利点を活かし、ビッグデータと個人情報を、これからも積極的に最新技術と融合して利用してくるでしょう。
ファーウェイ(HUAWEI/华为)は、アップル(Apple)よりも早く、携帯電話のロック解除に顔認識を採用しており、画像解析ノウハウの蓄積に先行しています。
中国人の8割以上が利用しているWechat(微信)を供給するテンセント(Tencent/腾讯)も、壮大なビッグデータの保有企業です。
ほかにも、多くの有力な中国企業が育っており、プレイヤーには事欠きません。これから世界がどこに向かうのか、中国に目を向けておくと面白そうです。
電子通貨の普及では、中国はすでに世界の先頭を走っています。