現代版おとぎ話は軟弱です。
子どもたちに「おおかみと7ひきのこやぎ」の絵本を読み聞かせたのですが、キャラ描写がアンパンマンのようなマイルドさ。オオカミが怖くない。むしろかわいい。
留守番をしていた子ヤギたちが食べられるのですが、母さんヤギがオオカミのお腹を開くと、ピョコンというPOPな擬音とともに飛び出してきます。
「ああ、よかったね。おしまい。」
捕食されていて、そんな気楽な終焉あるかい!!
この程度の認識では、子どもたちが社会に出てから甘い詐欺話に騙されてしまいます。世界傑作絵本シリーズの「おおかみと7ひきのこやぎ」を読んであげました。

- 作者: グリム,フェリクス・ホフマン,せたていじ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1967/04/01
- メディア: 大型本
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50年前に描かれた本書は画風がクラシックで、おどろおどろしい迫力があります。
グリム童話はこれですよ。オオカミが雑貨屋やパン屋で買い物をするファンシーさがありつつも、リアルな残酷性なしには優れた物語は成立しません。
作中では、見るからに悪そうなオオカミが、あの手この手で子ヤギたちに家の鍵を開けさせようとします。開けたら最後、子ヤギは丸のみです。
なんと世の中は怖いことか
帰宅した母さんヤギは、寝ているオオカミをハサミで切り開いて子ヤギを救出。代わりに石を詰め、気づかれないよう手際よく縫い合わせてしまいます。
復讐は徹底的にね
目が覚めたオオカミは水を飲もうとして、石の重みで井戸に落下します。そして、この世とさようなら。ヤギたちは井戸の周りを舞い、オオカミの死去を祝福するのです。
悪事を働くと仕返しが待っているよ
これぞ、童話です。我が家の子供たちは、子ヤギを応援し、オオカミに怯え、最後は一緒に踊ってハッピーエンド。社会の残酷さを真剣に学んでいるようです。