書き出しには気を使います。1文目からワールドに引き込みたいのです。
億万長者物語は資産運用ブログではありますが、「物語」を名乗っていますしね。せっかく読んでもらっていますしね。
恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。(太宰治 人間失格「第一の手記」より)
えっなになに? なんの告白が始まっちゃうの? ってなるじゃないですか。
文章作成の参考になればと、小説の書き出し箇所だけを集めた書籍を購入しました。
本書は小説の書き出しのみで構成されています。
有名小説からの抜き出しだと思い購入したのですが、投稿作品の編纂でした。ちょっと狙いにきている作品が多いです。
当初の目的とは違ったものの、書き出しのみという試みとネタ感の混ざり合いがちょうど良く、自由に楽しむことができました。
「あ、肉まんを考えた人か」そう思ったときにはもう、滝つぼが眼前に迫っていた。(本書より)
滝つぼがあったから肉まんを想像したのか、考えごとに気を取られて滝つぼに落ちそうになっているのか。目前に迫るというのは、吸い寄せられているのか、転落の最中なのか。落下するなら船じゃないよな、筏にでものっていたのだろう。肉まんをつくったのって諸葛亮孔明だっけ。いやそれは饅頭か。
情報量が限られるため、脳内に際限なく景色が広がります。
書くときもそうですが、報告や相談するときも、ついつい情報を盛り込みがちです。グダグダして、要点がボヤけてしまう。
もっと受け手に任せていいのだと知りました。誤解するなら、すればいい。楽しい方向に解釈してくれそうな気がします。
僕が描いた世界とは別の、あなただけの億万長者物語が広がる。それってロマンティックですね。
完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。(村上春樹 風の歌を聴け より)