中国で10年ほど前に、G2という言葉が登場しました。
アメリカとともに、2国で世界を統治しようという考え方です。
この戦略が生まれた頃は、世界のGDPはアメリカの独壇場でした。2位3位を争っていた日本と中国を合わせても、規模で劣っていたのです。それなのに、まさかの対等宣言。
中国のG2戦略は、インターネット上で散見される「アンチ」の戦略と重なります。
アンチの方々は、人気と発信力を併せ持つインフルエンサーに敵対して批判と非難を浴びせ、同じ地位にいると錯覚させることで影響力を得ています。対抗軸となるインフルエンサー以外とは線引きすることで、上位の戦いに移行するができるのです。
実際に、中国は日本を突き放し、1位のアメリカとの差を着実に詰めてきました。
対抗軸を利用して、地位を高める方法はビジネスの世界でも利用されています。
カネボウは資生堂のプロモーション商品と悉く競合させることで、化粧品業界のシェアを獲得してきました。
ペプシコーラも、コーラ飲料の雄コカ・コーラを徹底マークすることで、地位を築いています。
重要なのは、対抗軸を利用して獲得した立場の利用方法です。
ある程度までは対抗軸の勢いを借りて発展することができますが、アンチのままでは独自性を確保できず、社会に必要とされなくなってしまいます。
カネボウは未だ資生堂の追随者に過ぎませんが、ペプシコーラの勢いを食品分野に活かしたペプシコは、食品メーカーとしての存在を確立させました。
アンチ戦略は、人生においても比較的容易にポジションを高められる優れた戦略です。
成功者や有力者の反対を付けば、容易に目立つことができるし、挑戦者としての果敢なイメージも獲得できます。後出しコメントで揚げ足をとるだけでいいので、正論を説く印象もついてくるのです。
うーん、でも僕は好きじゃない人を頼りたくないや。賛同できない人の勢いを借りてまで、存在をアピールすることを潔しとしません。
人の力を利用するような真似をするから、いざ貿易戦争を仕掛けられると、右往左往する羽目になるのです。
僕の保有銘柄には、他社の勢いに頼るような企業を組み入れていません。僕は自分自身の力で存在感を発揮したいし、保有銘柄にも自社の力でのし上がっていく強さを期待したいと思います。