日本のサラリーマン社長は経営に向いていません。
企業で出世する能力と経営に求められる能力は決定的に異なるためです。僕の考えについては、以前の記事をどうぞ。
逆転の発想で、日本の経営者に尊敬されている人物像を探ろうと、石坂泰三氏について調べてみました。
石坂泰三氏は昭和を代表する経営者です。
東大卒業後に逓信省に入り、29歳のときに引き抜かれて第一生命に準役員として入社、52歳で社長に上り詰めました。東芝社長を経て経団連会長を歴任、大阪万博でも会長として奮迅し成功を導いています。
自由経済を標榜して政治との距離を鮮明にしており、日銀総裁就任や入閣の誘いを断りました。
経団連ビル建設のため国有地払い下げを陳情し、煮え切らない大蔵大臣に対して、きみには頼まないと啖呵を切るような人物です。
勢いに満ち溢れているやないか。
今のサラリーマン経営者にはいないタイプです。僕が知らないだけかもしれないけれど。
凄いのはもちろん凄いのですが、なんとかいうか、物足りません。
リスク感? 人生背負っている感?
どうにも冗長な生暖かさを感じてしまうのです。自分の夢や理想を具現化していく起業話のほうがスリリングな魅力があります。
安定した給料が魅力のサラリーマンにドキドキを求めること自体がナンセンスなのでしょう。
この本は、出世街道を目指して頑張り続けるべきかを計る試金石です。
サラリーマンが大成した物語にワクワクしないのであれば、独立するなり、ぶら下がるなり、方向転換した方がよさそうです。