億万長者物語

30歳100万円から運用を始め、38歳現在、資産額5,900万円。経済的自由を目指して、まだまだ頑張ります!


17時10分の飛行機雲

 

こんな経験はないだろうか。

 

成田空港に到着したのに、搭乗予定の便が案内されていない。

 

フライト遅延や取消を危惧しつつ、地上係員に問い合わせてみる。

 

意識せずとも、ついつい美人に声をかけてしまうのは男の性だ。

 

彼女は恐らく研修中なのだろう。

 

潤む瞳は自信に溢れつつも頬には研修中の不安が潜み、航空会社で働く夢が叶った興奮も入り混じっている。

 

受け答えはハキハキしており、言葉選びに聡明さが覗く。彼女の未来は明るい。

 

あのぉ、僕の便がないんですけど

お調べいたしますカタカタカタ

お客様の便は羽田でございますニタァ

 

 

 

タクシーに飛び乗り、羽田へと急げ。45分で到着すれば間に合う。

 

運転手のおじさんは、1時間くらいだねー、などと言っているが、見てくれ僕の形相を。

 

熱い気持ちを共有し、道を飛ばす。

 

彼の優しさは目じりの皺を見れば分かる。白色が交じった髪と焼けた腕に歩んだ道のりが刻まれていた。

 

オーケー、彼に任せておけば大丈夫。

 

宮野木、東雲、有明、大井。道は空いていた。

 

シートに体重を預け、しばし放心。首都湾岸線から眺める東京湾は、いつも悲しく美しい。波が西日にキラキラ輝く。

 

どのターミナルかと聞かれ国際線だと答える。

 

いや待てよ。今日はノッてない日だ、再確認。

 

Terminal Iの文字。あっぶねー。

 

運転手さん第1ターミナルだ。なるべくカウンターに近い降り場をお願いします。

 

 

 

釣り銭の確認もせずレシートごと握りしめ、走る。

 

スーツケースがけたたましい走行音を鳴らし、皆が目を向けた。気にしている余裕はない。

 

発券時間を5分ほど過ぎているが、これぐらいなら対応をお願いできるだろう。

 

柔軟性がありそうな、かつ綺麗な人を探す。スタイルがよく、チャーミングであれば最高だ。

 

すみません、ちょっと遅れてしまいましてハァハァ

すぐに搭乗手続きをいたしますムムム

お客様。出発ターミナルは国際ターミナルでございますニタァ

 

マジかよ。ウソだろ。・・・ちょっと待て、さっき確認したぞ。こうなったら責任転換だ。

 

EチケットにTermial Iって記載がありますよドヤァ

お客様。1ではございません、InternationalIでございますニタア

 

 

 

凍てつく風に吹かれデッキで缶コーヒーを啜った。

 

あぁ、青い空へと白い機体が飛び立って行く。

 

会社には面白おかしく報告し、事なきを得た。スーツケースの車輪が吹き飛んだエピソードが良かったようだ。