二女は食べるのが好きです。
まだ3歳なので咀嚼が遅く、いつまでもモソモソと食べ続けています。
煮つけや漬物といった渋い食べ物も好きですが、子どもっぽいお菓子にも目がありません。
過剰に甘く、刺激的な色をしていて、粘っこい。
それ、美味しいのか? 僕は買い与えませんが、自分たちのお小遣いで手に入れるのであれば、文句を言うのは筋違いです。
包装紙ごと大事そうに握りしめ、ゆっくり時間をかけて味わっています。
少しずつ少しずつ口に運ぶ様子はリスのようです。
先に平らげた強奪者が小動物を襲いにかかります。長女と長男です。両端から挟み込み、有無を言わさない迫力。
モソモソと食べ続ける二女との距離を一気に詰めてきます。
ねぇねぇ、二女。ちょっとちょうだい
許可を得る前から、手が伸びとるやないか。
二女が懇願するときには、泣こうが叫ぼうが絶対にあげないくせに。厚かましいぞ。
いいよー
えっ!? あげるの? 彼らはキミには何もくれないよ。
丁寧に3分割して分け与えています。二女は気前がいいのです。
一口で食べ終わった長女と長男がさらに催促。キミたちはギャングかね。二女が食べる速度を考慮しようよ。
いいよー
いいのかよ!? 断れよ!
更に分け与える二女。一番食べるのが好きなのに、分け前が一番少なくなっている。
食べ終わってからは名残惜しそうに、手に付いた残り香を楽しでいます。
無償の奉仕心を忘れていませんか?
僕たちサラリーマンも分け与えましょう。
お菓子を分ける? 遠足じゃないんだから。
おカネを配る? 気味悪がられますよ。
成長の機会を分け合うのです。やりがいを分け合うと言い換えてもいい。
短絡的に言うなら、仕事を分け合うということです。もっと言うなら、仕事を振るという表現も可能ですね。
大丈夫、きちんとキミたちの仕事だと褒めておく。手柄を分け合うようなことはしないよ。そこまで酷くない。
ストレス源になりそうな作業さえ分担してくれるのであれば、あとはなにも望みません。
僕が欲しいのは給料です。それ以外のものは分けると言わず、あげちゃっても構わない。
それでは、今週も頑張りましょう。