「会社は見る目がないよね」
「結局、社内を見て仕事をするヤツが出世するんだよ」
焼き鳥が煙るカウンター席で、サラリーマンの吐露が吐き出される。
憂さを晴らすために酒場はあり、心を軽くすることが酔客の務めならば、彼らは立派に務めを果たしているのであろう。
しかし、私にとっては気楽な話でもない。
会話は両隣の同僚から発せられ、私の顔面を行き交っているのだ。
そういう場に限って、私は中間に座らされる。
はぁ。とか、あぁ。とか、うぅ。とか、言いながら、焼酎の残量を減らしていた。
堂々巡りの会話が退屈になってきたので、会社にも一理あるんじゃない? と投げかけてみたら異常なほど盛り上がったので、それからは黙って芋から絞り出された陶酔を舐めている。
隣人たちは業務への熱量があり、勤務先への忠誠心も強いのだが、議論の軸がずれているのだ。
何度、口にしようとして止めたのだろう。
「嫌なら辞めなよ」
僕たちは賃金と引き換えに労働力を提供している。
能力があればパフォーマンスと引き換えに稼ぐことも出来るし、人脈があれば仕事を回すことでおカネをもらえるかもしれない。
しかし、彼らには、それがない。僕にもない。
仕方がないから黙って働くしかない。
雇用と労働の関係性をひっくり返すのは簡単だ。
力を付ければいい。
代替のつかない圧倒的な能力でもいいし、優秀なプレゼンを凌駕する交友関係でもいい。
10年以上サラリーマンを続けたので心底理解したが、会社が懇願する能力や、阿吽の交友関係を築くのは生半可な努力では適わない。
少なくとも、私には無理だった。
だからといって、諦めたわけではない。
私はカネを貯めることにしたのだ。
出世するよりは、圧倒的に容易な道のりだと断言していい。
真面目に働き、堅実に貯め、適切に運用すればいいのだ。
足取りが重くとも素人ランナーがフィニッシュラインに辿り着くように、諦めなければ口座の残高は増えていく。
必要なのは、ゴール位置の把握、足を進める意思。
私は資産運用を始めて、精神が楽になった。
少なくとも、人事を期待して嘆くといった、自分の手が届かない範囲を心配することはない。
おカネの余裕があれば、賃金のために精神をすり減らす必要はないのだ。
逆説的だが、会社からの評価も上々だ。
今期の査定も悪くはなかった。仕事をチームに振り、自身はPCのモニターを眺め続けていたことを考えると褒められすぎている。
これも、資産運用の余波である。
給料に家計を頼らなくて済むので、キレッキレの態度で仕事に臨むことができる。
そんなヤツは会社にいない。
あいつヤバくね? なんだか、次の時代を切り拓きそうじゃね? となるのだ。
彼らの評価は大きな方向では間違っていないが、残念ながら、会社の未来を開拓する意思はない。すまん。
出世を望むなら、そこを目指して、ゴマすりだろうが、点数稼ぎだろうが、全力で走り抜けばいい。
そんなことをしたくはなければ、資産運用がおススメだ。
貴方の上司が貴方のキレッキレの態度を気に入らなかったとしても、貯めこまれた貴方の資産は貴方を裏切らないであろう。
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