おカネとは何か。
学校では教えてくれないので、自分の子どもたちには僕が教えるようにしています。
おカネの社会効果を説明したり、貯まったお小遣いに利子を付けて資産運用のイメージを持たせたり。
僕も実際の資産運用で学んでいる途中ですが、おカネの機能は多く、概念的な難易度の高さには目を見張ります。
おカネの役割を知ろうと、「おカネの教室」を読んでみました。

おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 (しごとのわ)
- 作者: 高井浩章
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2018/03/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書では、おカネの獲得手段を基軸に、経済について語られます。
学園ドラマ風に説明が進行するので楽しく読み進めることができました。
本書によると、おカネを手に入れる手段は、「かせぐ」「もらう」「ぬすむ」「ふやす」「かりる」「つくる」に分類されます。
価値を創り出すことが「かせぐ」、役に立たない悪いことが「ぬすむ」、社会のメンバーとして当然の役割を果たしている状態が「もらう」です。
公認ギャンブルや売春、戦争は必要悪であり、裏稼業として一般人との線引きが必要なものも「もらう」だと定義されます。
分類に善悪の基準が込められている点がユニークでした。
貯金で利子を得る行為は「ふやす」で、富の増大に寄与する投資や不動産収入は「かせぐ」です。
「ふやす」のなかでも、悪質なもの、例えば高利貸しは「ぬすむ」に分類されます。
僕は市場原理で矛盾は淘汰されると考えているのですが、そのためには合理的な判断力が必要だと諭されます。
役に立つ人におカネが集まって「かせぐ」ことができ、出資者は資金を増やすことができる。
市場が正しく機能しているからこそ、アダム・スミスが見えざる手と表現したように、事業の拡大と出資金の最大化が成し遂げられるのです。
失敗例は、サブプライムローンです。
欠陥のある借金を証券化することで貸し付けの責任を無効化し、社会に尻拭いを押し付ける。
銀行家は儲かりましたが、富の創出に対する対価ではありませんでした。出資者からおカネを「ぬすむ」行為だったのです。
おカネは信用であり、信用を担保することで富が増幅します。これが、「つくる」です。
儲けのために利害関係者を騙すことで信用が希薄し、経済は停滞します。
おカネを回し続けて経済が発展するためにも、「ぬすむ」ような犯罪行為は許されないのです。
マクロ経済的な発想が満載された良本でした。しかも、登場人物の中学生に説明レベルが合わせられていて、読みやすい。
投資で資産を運用していると減った増えたに着目してしまい、ミクロ的な発想に留まりがちです。
意識的におカネの全体像を考えておかないと、経済的なバランス感覚を損ねてしまいます。
自分のおカネの使いかたにも、善悪の基準を持っておこうと思いました。
儲ける人が立派で、騙される人が悪いだなんて考えると、経済が止まってしまいます。
多少なりとも、金融運用から恩恵を受けているからには、社会基盤への協力は必須です。
僕の資産規模では壮大なる資本主義はビクともしませんが、より豊かな市場活動のためには協力を惜しみません。結局、それが一番儲かるしね。
適切に投資し、正しく資産を培養しようと思います。
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