僕には中国人の、会社を経営している友人がいます。
会社を引っ越すため、事務所のレイアウトを風水の先生に相談するそうです。
面白そうなので、立ち会ってきました。
中華系の人は風水を大事にするため、会社のレイアウトにこだわります。
窓の位置に対しての社長室の場所や、向き、置物の種類や色など、運気アップのための配置を徹底的に考え抜くのです。
とくに重要なのが「神棚」の場所です。
商売の神様は「関帝」です。三国志の関羽が神格化しました。信義に厚かったことなどから、商売の神様として祭られているのです。
先生は中国の華南地区からいらっしゃったそうです。マカオの近くの、珠海で生まれ育ったとのことでした。
70歳代の男性で、顔にはシミが点在しています。髪の毛は白髪で、後ろになでつけていました。中肉中背で背筋はしゃんとしています。
パワフルな印象を受けました。外観がどうのとか、オーラがどうのとかではありません。声がものすごく大きいのです。
不意に話しかけられると、耳がキーンとなるため、油断ができません。
先生は広東語(香港とかで話されている中国の方言)で話すため、直接の意思疎通ができません。そのため、友人を通して会話をしました。
先生がなぜ風水を鑑定できるかというと、「気」の流れが見えるからです。彼の父親も風水師だったそうです。
友人の新会社には、間取りの設計でも訪れていたようで、3回目の訪問だとのことでした。午後3時、到着するなり、即座に「神棚」の場所を指定していらっしゃいました。
あとはずっとお茶を飲んでいました。稼動時間1分。友人は先生に30万円ほど払っていたっぽいです。すごいな、先生!
ほかにもイギリスやアメリカ、アラブ首長国連邦にもお客さんを抱えているそうです。腕利きの風水師なのでしょう。
日が暮れ始めたので、一緒に中華料理を食べに行きました。中国人が運営している本格的な中華料理屋です。
ちょくちょく中国人コックを呼びつけ、味付けに文句を言っていました。グルメであることをほめると、以前に料理人をやっていたから詳しいとのこと。
ん? 料理人!?
その前は大工をやっていたらしい。
風水の先生になるためには、社会経験が必須だということなのでしょう。
その後、友人と中国人キャバクラに消えていきました。カラオケが好きらしいです。
キャバクラかよー。いよいよ胡散臭いなー。
僕はうるさい場所が苦手なため、ここでお別れです。
先生は別れ際に握手しながら、「キミは可能性にあふれる、大きな人間だ」と言ってくれました。さすが、風水の先生。見る目があるのでした。