気候変動について、楽しくクールでセクシーに取り組むべきだと発言して物議を醸していた大臣がいました。
セクシーという表現が問題だったようです。
英英辞典で調べてみたら該当する使用方法があったので、特におかしい表現ではないのでしょう。
【Sexy】
used to describe something that attracts a lot of interest and excitement:
-For most people, grammar isn't a very sexy subject.
いちいちメディアは騒ぎ過ぎなのです。
報道の自由を掲げるのであれば、表現の自由はその根本だよ。
報道にはくれぐれもセクシーさを心掛けて欲しいと思います。
さて、セクシーなビデオに出演する女性について、「名前のない女たち」を読みました。
環境問題?
違います。
ガチな意味でのセクシーです。
一昔前はビデオ出演がセーフティネットになっていたらしいです。
行き場を失くした女性が辿り着き、生活の糧を送る。
本書は出演者へのインタビューをもとに執筆されています。
ビデオへの出演を望む女性は増加傾向で、人気職業だそうです。
ビデオの売り上げは減少しており出演料も低下していますが、それでも希望者が殺到しています。
女性の悲壮度が薄まってきているのです。
本書に登場する12人は競争に勝ち抜いて出演しているのですが、じゃあよかったねとはならない。
完全に労働搾取の対象です。
業界は女性を商品として扱っており、商品を売り切るためのシステムが出来上がっています。
専属契約やら、出演内容やら。
視聴者の飽きを見越して、2~3年で出演サイクルが完了するようにデザインされています。
一度商品として足を踏み入れてしまうと、そこから抜け出すことは困難です。
危険な選択なのに、なぜ出演しようとするのか。
本書に登場する女性に共通するのが「自己否定感」だと思いました。
自分に対しての評価が低く、満足の仕方が分からない。
幸せになりたいとは思っているけれど、その幸せが何かすら分からない。
そして、甘い言葉ですり寄ってくる業界に嵌めり込んでいくのです。
結構、怖いです。
セクシービデオだけの話ではありません。
人間の本能に近い欲望を商売にしているので、分かりやすく露呈しているだけ。
社会の縮図だと思います。
弱さつけ込んでくる資本主義。
労働のもとに商品が生み出され、欲望を埋めるための価値が創造される。
消費活動を継続するために、価値の創造が完成することはありません。
つまり労働っては、終わらない搾取なのです。
大げさだけどね。
本書に登場する女性は、搾取される側の典型です。
どうすれば、避けられるか。抜け出せるか。
一辺倒だけど、それが知識なのだと思います。
社会の構造をしり、自分の立場を把握する。
職業に貴賤がないように、人生の歩き方にも優劣はありませんが、せめて自分が納得できる生き方を出来るように、これからも勉強だけは続けようと思ったのでした。
セクシービデオの愛好者は、くれぐれもご注意ください。
あまり、本書をおススメできない。
色んな感情が湧いてしまい、次回の視聴からは素直に楽しめなくなること間違いなしです。