図書館で人気本を予約すると、順番待ちリストに登録されます。
自治体の人口にもよりますが、100人を超えることは多くありません。
子どもたちに人気の「おしりたんていシリーズ」でも、待っているのは30人くらいです。
通りかかった本屋で紹介されていて気になった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を予約しておきました。
600番目。
待て待て。
所蔵数8冊に対して600人も待っているのです。
僕の番が回ってくるのは2年後だね。
そんなに待てないよ。
久しぶりに購入して読んでみました。
人気の書籍はフリマアプリで容易に現金化できるので気楽です。
定価を超える価格で売却されていることがあるけれど、どういう人が売買しているのだろう。
不思議な人がいるものです。
本書は著者の息子の物語です。
日本人の母とアイルランド人の父を持ち、イングランドの公立中学校に通う。
中学校には混血児もいれば、白人もいて移民もいます。
裕福な家庭もあれば貧困エリアに住む生徒も在籍し、荒れた環境でした。
立て直しに成功した中学校ではロックが鳴らされ、ハードなラップまで叫ばれたりして、それを先生方が誇らしげに拍手を贈ります。
本屋では子育て本のバイブル!と推薦されていましたが、さすがに参考にはならない。
日本の文化祭で労働者階級の日常を訴えるゴリゴリのラップは披露できません。
してもいいけど、周囲の父兄からの視線がいたたまれないよ。
人種の混じりが少なく、外洋に囲まれた島国の日本には当てはまらないというか、共感できるところは多くありません。
だからこそ、世界で起きている「多様性」を疑似体験するには最適でした。
中学生の日常は爽やかだし、社会に飛び出していくエネルギーに溢れている。
冒険譚のようにワクワクしながら読み進めることができました。
自分の決定要素が1つだと決めないこと。
僕は日本人だけどアジアンでもあるし、サラリーマン生活を耐えきれなくなっている不適合者でもあります。
労働者でもあるけど、株式をもっているから資産家ともいえなくもない。
サッカーや野球を観戦するのが好きで、自分で身体を動かすスポーツは持久系が好き。
まぁつまり何ものでもなく、アイディンティになんてこだわる必要はありません
無理に属性を決めようとするから分断が起きて、高飛車になったり卑下したりするのです。
色々あるのが普通ですからね。
完璧にホワイトな人もいなければ、真っ黄色な人もいない。
完全にブルーな人がいたら救急車を呼んであげてください。
本書にも記述がありますが、属性があるからこそ仲間のことを特別に扱ったり、守ったりする一面もあります。
多様性を包括するって難しいですね。
海外に滞在するときに感じる、自分が集団とは違うという感覚。
マジョリティでありながらマイノリティーであること。
片意地を張らず、リラックスして世界を楽しんでいこうと思いました。