ピースの又吉直樹さんが芥川賞を受賞しました。
衝撃でした。
多忙な芸人生活の合間を縫って執筆するだけでも凄いことなのに、芥川賞。
芥川賞は純文学の新人に与えられる名誉です。
大衆文学の直木賞も凄いけれど、芥川賞は確立した筆力した職人にのみ受賞が許されます。
というイメージ。
詳しくは分からないけれど。
そもそも純文学ってなんだろう。
又吉さんの次回作「劇場」が映画化されるようで、本屋では花火の陳列も目にするようになりました。
そのたびに想うのです。
僕、まだ読んでないや。
又吉さんが芥川賞を受賞したのは5年も前です。
今さらながら、「花火」を読みました。
「劇場」とともに、感想を記録しておきます。
花火は芸人、劇場は劇作家の話です。
どちらの小説でも、表現することへの執着的なほどの想いが記されます。
花火は尊敬する先輩、劇場では主人公の語らいとして。
物語の構成は類似しますが、それだけに筆力に圧倒されました。
人を笑わせること、人を魅せつけること。
たったそれだけのことを、長々と脈々とグダグダと書き続けることができる。
登場人物が進む方向は少しずつ変化もし、後戻りもし、それでいてブレない理想が確立されています。
居酒屋でうっかり相席になってしまった面倒な客に延々と諭されているかのような語り口なんだけれど、妙にポイントを突き、巧妙に切り口を変え、本の最後まで一気に惹き込まれていきました。
これが芥川賞作家の力量か。
文体自体に意味があり、文章そのものが光り輝くような。
大げさだけど、それくらいの驚きを受けました。
もっと早く読んでおけばよかった。
僕もブログで文章を書き連ねてはいますが、我が家の子どものことやおカネの増減ばかり。
心象表現に細緻を貫くわけでもなく、文体を芸術の域に高める実験があるわけでもありません。
いうなれば実現する物語です。
大衆文学ってやつですね。
詳しくは分からないけれど。
そもそも大衆文学ってなんだろう。
僕は小説を読むときは物語性を需要視するし、それで充分楽しめています。
それでも、たまには違う嗜好を取り入れてみるのもいいですね。
遅くなってしまったけれど、又吉さんの文章を読んでみてよかったです。
「花火」について周囲が語っているときに、まさか読んでいないとは言い出せません。
5年間、そのような機会はなかったけれど。
「劇場」は映画化されます。
宣伝では恋愛の側面を押し出すようだけれど、心配です。
又吉さんの作品は、緻密な思想描写、人生の語らいに真髄があると思う。
恋愛映画として成り立つのかな。
「花火」は芸人の友情や尊敬、すれ違いという要素があったから映画化できたのだと思います。
対して、「劇場」の恋愛は、僕がいうのもなんですが、クsです。
とてもじゃないけれど世間の支持は得られないだろうし、女性からは非難しか集まらないのではないだろうか。
それはそれで面白そうだ。
映画も観てみよう。
話題作は理由があって話題になります。
そこから、思わぬ刺激が得られるかもしれません。