億万長者物語

30歳100万円から運用を始め、39歳現在、資産額7,100万円。経済的自由を目指して、まだまだ頑張ります!


子どもの嘘

 

長男が突然泣き出した。

 

ソファーの隣にはしかめ面の妻。

 

僕は呆けたように口を開けて身動きが出来ない。

 

就寝前の安らいだ時間。

 

先ほど食べたビーフシチューが今も余韻を舌に残している。

 

妻は料理が上手い。

 

僕もレシピ本を片手に夕食を作ったりするが、到底敵わない。

 

調味料の分量確認はおろか、ろくに味見もせずにレストラン以上に仕上げてくるのだから、才能というのは恐ろしい。

 

今日のビーフシチューも冷凍庫に残っていた牛モツを思い付きで投入し、感覚でソースを引き延ばして完成させていたが、舌を巻く美味しさだった。

 

歯を磨き終えた子どもたちは、子ども部屋でレゴを組み立てている。

 

妻が気づいた。

 

あっ。

 

カーテンが切れている。

 

Vの形。

 

窓の外が見える。

 

カーテンを重ねて鋭利な刃物で切り裂いたのであろう。

 

真っすぐな切断面からはハサミを用いたことが分かる。

 

ははあん。

 

子どもたちの仕業だな。

 

 

 

僕と妻の前に座らされる子どもたち。

 

中央に二女、両端を長男と長女が挟む。

 

そこのカーテンが切れているね。誰がやったのか言ってごらん。

 

首を振る3人。

 

むむう。

 

知りたいから聞くんだ。怒っているんじゃないよ。

 

否定を続ける。

 

むむう。

 

言い出すなら今だよ。後から発覚したら怒らなきゃいけない。

 

長女が言い出しました。

 

私が切っちゃったかもしれない。

 

切っちゃかもしれない程度の切れ方じゃないよね。

 

切ったなら本人は分かるし、忘れたりはしないと思うよ。

 

長男も言い出しました。

 

僕が切っちゃったかもしれない。

 

いいかい。かもしれないなぁって程度じゃない。

 

やった人は分かっていると思うから、しっかりと言ってくれる?

 

また首を振り始める子どもたち。

 

誰がやったんだろう。

 

さっぱり見当がつきません。

 

先日も玄関のドアが破壊されていて、犯人が特定できずにウヤムヤに終わらせてしまいました。

 

虚言癖を正すのは今です。

 

嘘が通ると勘違いされちゃ困る。

 

どうやって攻めようかと悩んでいると、むすっとしていた妻が口を開きました。

 

今言わないと悲しい気持ちで過ごすことになるよ。カーテンを見るたびに嫌な思いをするんだよ。

 

沈黙。

 

大人は子どもが嘘をついていても分かるんだよ。

 

語気が荒くなってきた。

 

僕は分かっていませんが、横やりを入れる雰囲気ではありません。

 

それでいいの? 

 

・・・。

 

長男!

 

突然の指名。

 

こらこら妻。

 

確かにやらかしそうなのは長男だけど、あてずっぽうに決め打ちしちゃいかんよ。

 

親に信用されなかった子どもは、心に深い傷を負ってしまいます。

 

泣き出す長男。

 

ごめんなさい。うええぇぇぇん。

 

えっ、長男がやったのか?

 

大人は子どもの嘘が分かるらしいから、僕も気づいていたような顔を浮かべるのに必死です。

 

むせび泣く長男。

 

発覚を恐れて不安な時間を過ごしていたのでしょう。

 

緊張からの解放。

 

言えてよかったね、長男。

 

不安を抱えたまま眠りについてはいけない。

 

 

 

おやすみ、子どもたち。

 

2人きりになり、長男だと分かった経緯をひっそり声で尋ねます。

 

バレバレだったとのこと。

 

長女のあとから変に犯行を示唆してきたし、目が合わなかったそうです。

 

お茶の飲み方も異常だったらしい。

 

確かに頻繁に飲んでいたけど、よほど喉が渇いているのだと思っていた。

 

夕方に運動をしたし、お風呂も長かったし。

 

ん?

 

寝静まったはずの子ども部屋から足音が聞こえてきました。

 

開かれるドア。

 

たたずむ二女。

 

おもむろに泣き始めました。

 

うええぇぇぇん。

 

玄関壊してごめんなさい。

 

二女だったのか。

 

あどけない顔で否定されたから、違うと思っちゃったよ。

 

犯人が分からないから、経年劣化ってことにして自分を納得させていた。

 

二女、よく言えた。

 

えらかったね。

 

抱きしめさせてくれ。

 

おねえちゃんが言ってきたほうがいいよって教えてくれたのぉぉ。うええぇぇぇん。

 

すごいな長女!

 

お父さんに分からなかったけれど、長女は見破っていたのです。

 

子どもの嘘は見破ってあげないないと、本人が苦しみます。

 

大人には嘘が分かる。

 

子どもの嘘が見破れない僕は、どこからやり直せばいいのだろう。