レミングファクターという言葉があります。
理屈に適っているかどうかに関係なく、ほかのみんながやっていることに従いたくなる誘惑のことです。
レミングは北極やその近辺のツンドラ生物群に生息するネズミで、集団で海になだれ込む行動で知られています。
「バフェットの法則」に記述がありました。
不要な保険を買ったり、高額な住宅ローンを組んだり、満員の通勤電車に揺られたり。
世の中には罠が溢れています。
株式市場で生き残るためには、レミングファクターを避けなくてはなりません。
安く買って、高く売る。
利ざやを大きくするためのシンプルな鉄則ですが、集団行動の逆を突くことは非常に困難です。
市場が叩き売っている逆境を買い向かい、買い漁っている最中に売却する。
こういう資産運用を目指していた人が、コロナパニックで株を売却したことを僕は知っている。
それでいいと思います。
株式投資は生き残ることが大前提。
精神を崩壊させないためには、市場から避難することも大切です。
集団行動に抗い資産を増やしていくためには、下落圧に負けない的確な情報判断と強靭な精神力が要求されます。
株は売買するものだという前提自体が、すでにレミングファクターに組み込まれている可能性もある。
延々と保有を続けて配当金を受け取り、資金が必要になったときに売却すればいいのかもしれません。
僕が勉強した本にはそう書いてあったので、我が家の運用戦略は長期保有です。
でも、それすらもレミングファクターなのかもしれない。
難しいね。
綿密に調べて、ときには資金を投下して実験を行い、納得するまで悩み抜くことが必要です。
レミングは実際には集団自殺をしません。
北欧で信じられていた迷信で、Disneyが決定づけました。
1958年に制作されたDisneyの実写映画「White Wilderness (白い荒野) 」には海に飛び込むレミングが映っていますが、なんと捏造です。
子どもたちからレミングを買い取って、崖に追い詰めて落としたり、海に投げ込んだらしい。
酷いことをするものです。
レミングが海に飛び込むことはあるけれど、それは個体数増加に対応した移住のためで、そもそもレミングは泳げます。
レミングファクターを信じる。
それこそがレミングファクターなのです。
見事に逆説的な皮肉ですね。
大切なことは自分で調べ、よく考えてから決断するようにしたいと思います。