JUMIA(JMIA)はアフリカのEコマース企業です。
ナイジェリアに本社を持ち、マーケットプレイスだけでなく、輸送や決済も手掛けています。
言うなれば、「アフリカのAmazon」。
株式はNY証券取引所に上場されており、年初来400%の値動きです。
アフリカ経済は発展の余地が大きく、現地企業に資金を投下しておくことは将来への種まきになります。
投資機会を探るべく、JUMIAの年次決算書を読み込みました。
(原文)https://s23.q4cdn.com/836376591/files/doc_downloads/irw/AGM/Annual-Report-2019.pdf
【主要決算データ】(単位:1,000EUR)
売上 160,408
粗利 75,902
利益 ▲227,065
粗利率 47.3%
利益率 ▲141.6%
現金 170,021
Amazonや南米のMercadoLibre(メルカドリブレ)などのEコマース企業も40%前後の粗利率なので、粗利は及第点です。
問題は最終利益率。
マイナス141.6%って。
尋常じゃありません。
IT企業は資金を集めやすく業務拡大への先行投資を行っている場合があるので、内訳を確認しました。
受注や梱包、輸送の費用で77,392,000EURです。
粗利が吹き飛びます。
そもそも受注業務や梱包業務、輸送業務は原価に含めないのかな?
MercadoLibre(メルカドリブレ)の決算書にも目を通しましたが、営業費に計上されていません。
原価に含めるのが、本来なのではないだろうか。
(メルカドリブレ決算書)http://investor.mercadolibre.com/static-files/5cfa8a5d-6208-4cf6-bc76-488daafb7101
受注や梱包、輸送の費用を反映させると、主業務での利益率がマイナスに転落します。
一方で、販促費は売り上げの35%なので適正な範囲でした。
続いて、人件費などの一般管理費を見てみます。
不明な費用を誤魔化して算入しやすいので注意が必要です。
なんと、売上の90.1%も使っていました。
大丈夫か!?
組織の効率が悪すぎる。
返品や値引きへの引き当ても一般管理費に計上されていて、ビジネスの根本を揺るぎかねません。
現地に行ったことがないので断言はできませんが、アフリカ諸国はインフラが未整備なため輸送費が割高になるそうです。
だとしたら、アフリカのEコマースが収益化するまでには、まだまだ時間がかかります。
投資には時期尚早だと判断しました。
ちょっと引っ掛かっているのは、市場規模です。
JUMIAの市場規模は1,325,000USD。
JUMIA業務域の経済規模を、ほかのEコマース企業の企業価値に落とし込むと、最大であと30倍の上昇余地が残っています。
とてつもない魅力ですね。
決算内容が悪くても株価が上がっている要因は、ここにあると思います。
100万円を投下すれば、3,000万円になるかもしれない。
博打だと割り切り、種まきで購入するのは一案です。
市場に歓迎されているから、しばらく株価は上がりそうだ。
ただし、長期保有となると決算報告書の確認は必須です。
経営態度に信頼がおけません。
現地視察もしておきたい。
僕は気楽な保有で資産を増やしていきたいので、やはりJUMIA(JMIA)への投資は見送ろうと思います。