億万長者物語

30歳100万円から運用を始め、40歳現在1億1,100万円。会社は辞めました。経済的自由を目指して、まだまだ頑張ります!


退職を決意した日

 

いつか忘れてしまうかもしれないので、あの日のことについて書き残しておきます。

 

冷たい雨が降っていた日。

 

辞めようと決意した日のことを。

 

 

 

僕は連日の資料作成で疲れていました。

 

会社の今後を提案する業務です。

 

社長に説明し、取締役会で共有してもらう。

 

組織を未来を左右する大切な業務だと思い、頑張っていたのです。

 

過去の方針を点検し、昨今の情勢に照らし合わせて提案の方向性を固めました。

 

説得できるデータを引っ張り出し、意図が伝わる数値を抽出しました。

 

パッと見て伝わるように何度もレイアウトを変更し、グラフを作り直しました。

 

チームとの相談を重ねて資料を作成。

 

上司に提出してコメントをもらう。

 

それから再度修正。またコメント。

 

際限なく続きます。

 

前回のコメントをひっくり返すようなコメントも多発されました。

 

継ぎはぎの資料。

 

いったい、どこに向かっているんだ。

 

1ヵ月以上の時間をかけ、ようやく完成です。

 

部長に提出したら、方向性からのやり直しを命ぜられました。

 

助けてくれない直属上司。

 

嘘だろ。

 

再度作り直して、もう一度上司からの閲覧を開始。コメント。

 

部長に却下された方向性です。お前、寝てたのか?

 

取締役会に間に合うように1週間で資料を完成させ、押し通しました。

 

そして社長への説明。

 

却下。やり直し。

 

マジかよ。

 

時間がないなか2日で修正し、なんとか納得してもらいました。

 

当初に目指したメッセージはことごとく削ぎ落し、残ったコメントは当り障りのないものばかりです。

 

‟状況は厳しいけれど、工夫を重ねて対処していく”

 

 

もう、10年以上言い続けている言い回し。

 

結局なにも変わらない。

 

 

 

社長提出を終えた日、会社帰りに博物館に寄りました。

 

国立西洋美術館のロンドンナショナルギャラリー展です。

 

フェールメールやレンブラント、それからゴッホ。

 

ルネサンス期のイタリア絵画は煌めいているし、ロマン主義の風景画には心が惹き込まれました。

 

素晴らしい61点の至宝たち。

 

見に来てよかった。

 

でも、僕は満たされませんでした。

 

頭の片隅に業務資料のことがくすぶっている。

 

せっかくの名画たちが、全く心に入ってこないのです。

 

そして、自己否定。

 

こんなに素晴らしい絵画を残している人もいるのに、僕は何をしているのだろう。

 

資料もまともに作れないなんて、もうダメなんじゃないだろうか。

 

 

 

イギリス肖像画のような陰影を纏い、電車に揺られます。

 

頭痛が酷い。

 

靴はすっかり濡れていて、駅からの家路への足取りが重い。

 

我が家が遠い。

 

そして、決めたのです。

 

もう辞めようと。

 

自分を騙すのは止めようと。

 

傷つかないふりをするのは止めようと。

 

幸いにも妻は許してくれました。

 

感謝、心から。

 

次の日、出勤してきた上司に揺るぎない辞意を伝えました。

 

コメントは受け付けない。

 

方向性の修正はしないし、再提出もなしです。

 

 

 

これから僕の人生がどうなるのかは分かりません。

 

退社したことを後悔することもあるでしょう。

 

そんなときには博覧会に足を運ぼうと思います。

 

そして、あの日の気持ちを思い出そうと思います。