交通誘導員は大変な職業です。
立ちっぱなしだし、車がすぐそばを通るから危険です。
暑い日もあるし寒い日もあります。
雨の日も、雪の日も。
交通整理をしなくてはなりません。
サラリーマンが職場でのストレスを吐き出してくることもあるでしょう。
同じく雇われの身分なのにね。
それでいて、給料が高いわけではなさそうです。
かなり年齢を重ねた人が従事していたりして、どんな経緯で過酷な業務に従事することになったのか。
それまでの経緯が気になります。
「交通誘導員ヨレヨレ日記」を読んでみました。
交通誘導員は社会の底辺です。
僕が言っているんじゃないよ。
著者がそう書いているのです。
警備の仕事に喜びなんてありません。
達成感もなく、社会への貢献もなく、日当は安い。
近隣住民や作業員には気を使うし、事故を引き起こすこともあるから責任は重大です。
やってらんないけれど、それしか仕事がない人が流れ着くらしい。
本著では現場での苦労や警備員の生活が日記調に綴られます。
著者は警備会社に勤務する73歳。
日記調の文章は完結で面白く、楽しみながら読み進めることが出来ました。
筆者には編集プロダクションを興した経歴があるそうで、過去が気になります。
多額の借金と延納税金があったそうだけど、どんな人生なんだ。
交通警備員は報われません。
業務内容が過酷だし、色んな人の便宜を図って車の流れを処理しているのに、言うことを聞かないドライバーがいる。
暴言吐いてくるやつとか。
誘導に従わないもんだから規制道路で鉢合わせになっちゃって大渋滞を引き起こすヤツとか。
ストレスを処理しきれなくなって分別つかなくなってしまうのでしょう。
サラリーマンも大変ですね。勝手な想像だけど。
健康であれば、とりあえず警備員にはなれます。
コミュニケーションが必要なため外国人による代替が利かず、業界は慢性的に人手不足なのだそうです。
優秀な人材が流れ込んでくる業界ではないため、同僚には一癖ある人が多い。
誘導中にパニックになっちゃって現場を放棄しちゃうヤツとか。
現場の監督や斡旋会社に取り入ろうとするヤツとか。
僕のこれからの人生、金銭的にとても困ったら、最後の砦として交通誘導員にでもなればいいと思っていました。
考えが甘かった。
気楽に日銭を稼ぐなんて、望めません。
とても気を使うし、現場はチームで動かすから人間関係も複雑です。
交通誘導員をやるぐらいならサラリーマンを頑張っておけばよかったと思いかねない。
交換可能な歯車が、違う歯車を蔑む。
同じ歯車なのに。
滑稽だし恐怖すぎます。
そんなことにならないように、事業を保有するなりお金を大事にするなりして、困らない人生を歩もうと思いました。
それから、道端で交通誘導している老人には、過剰なほど丁寧に接しようと思ったのでした。