「株式会社ほぼ日」は2017年にジャスダック上場を果たしています。
創業者は糸井重里さん。
スタジオジブリやPARCO(パルコ)のコピーラインティングで有名で、僕が子どものときには糸井さんがゲームデザインしたファミコンソフトの「MOTHER」が人気でした。
その後、ウェブサイトの「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げたことは知っていたし、「ほぼ日手帳」が人気なことは知っていました。
それにしても、上場企業の創業者にまでなっていたとは。
凄すぎます。
糸井重里さんの経営について書籍が出版されていたので読んでみました。
「すいません、ほぼ日の経営。」です。
本著は川島蓉子さんによるインタービュー構成です。
川島さんは伊藤忠商事グループの伊藤忠ファッションシステムに新卒入社し、取締役にまで上り詰めています。
今でも現役のサラリーマンだけれど、新聞で連載を持ったり、ビジネス書を執筆したり。
精力的に活躍しています。
なんでサラリーマンやりながら、そんなにマルチな行動が出来るんだろう。
糸井さんの立身出世も凄いけれど、つい最近までサラリーマンをやっていた僕としては川島さんにも興味が尽きません。
世の中には、実に色んな人がいるものです。
株式会社ほぼ日は、面白いことを世間に提案し、人に喜ばれることに喜びを見出す企業です。
すべてのチームが相関して会社を動かしていく。
組織図は直線的ではなく、臓器のようにお互いが影響を与え合います。
進行するプロジェクトのメンバー選定に規則やルールはありません。
必要な人に声を掛け、動ける人が参加していく。
ほぼ日では仲間と一緒に喜ぶことを大事にするのです。
給料だけではモチベーションは保てない。
勤務時間を減らして拘束負荷を減らしたり、手元のプロジェクトに集中できる環境を整えたり。
社員が伸び伸びと働くことができるよう、色んな工夫が盛り込まれているのです。
楽しそうですね。
糸井さんが色んなことを考えて組織を強くしようとしていることが分かりました。
理想の状態に近づけるために、試行錯誤する。
素晴らしいです。
読み進めていて、おえぇ。となりました。
僕には早すぎました。
組織での勤労による蓄積ダメージがまだまだ残存している。
企業は容れ物でもあるし、それ自体が意思を持つ生き物です。
個人としての強みを際立たせるのではなく、組織として強くしていく。
企業としては当然の理念です。
素晴らしい企業である株式会社ほぼ日もそうだし、僕の勤務先もそうだった。
そして、それが辛いのです。
埋没してしまう。
僕が僕であることが希薄していく。
与えられた仕事、予定され調和された結末。
退屈な日常がとてつもないスピードで流れていくのです。
刺激に飢える毎日。生きているってなんだろう。
・・・。
ほぼ日のような、楽しそうな会社だと、そういうの考えないのかな。
・・・。
考えてしまう絶対的な自信があります。
改めて認識しましたが、僕に組織で働く適性はありません。
社長の立場に立って組織を運営するのは楽しそうな気もするけれど、社員の生活までは責任を持ちきれないよ。
僕にはまだまだリハビリが必要なことが分かりました。
しばらくは個人として頑張ってみる時間が必要です。