隠れた需要を見つけ、市場の隙間に潜り込み、存在していなかったサービスを創造する。
素晴らしいことです。
それで、喜ぶ人がいたら完璧です。
その1つが特殊現場の清掃事業。
住居内で望まない痕跡を残しつつ死んでしまった人の、最後の後片づけをします。
単純な物品整理や掃除だけでなく、遺体の処理も。
怖いもの見たさも手伝い関連資料を読んでみました。
「事件現場清掃人が行く」です。
リビングで寛いでいたら、妻から怒られました。
怖い本を読むな、と。
表紙の画像から分かる通り、とても悪い雰囲気を纏っています。
亡くなった人の最後を片付ける立派な内容なんだと説明したら、余計に怒られました。
まあね。
死ってタブー視されているからね。
亡くなった人間の身体は腐食します。
放置すると体液が膨張して溢れ出し、数日経つと膨張して腹部が裂けるそうです。
そこにハエなどがたかって卵を産み、それが孵って・・・。
とグロテスクな世界が広がるので、ここでは割愛。
本書では生々しい現場の様子が丁寧に描かれています。
沁み出た体液は建物に沁み込み、建材を腐食して汚染します。
強烈な死臭を放つらしい。
繁殖した菌を消毒し、侵食部分を取り除かなくてはなりません。
筆者は残された人のために、完璧で、少しでも安く清掃を完了しようと、特殊な薬品を調達し、独自の方法で従事しています。
亡くなった方への敬意を持って対応しており、事業に従事するに至る経緯も使命感に溢れていて、人のためになる仕事って素晴らしいなぁと思いました。
特殊現場を作ってしまう人というのは、病院のベッドで亡くなっていない人です。
そして、すぐに発見してもらえない人。
亡くなってから時間が経ってしまうことで特殊現場清掃のお世話になるのです。
僕が、そうならないとは限りません。
妻とどちらが長く生きるのかは分からないし、いつまで妻が一緒にいてくれるのかも分からない。
子どもたちと離れ離れになるかもしれないし、結婚した人との折り合いが悪く寄り付かなくなってしまうかもしれないのです。
こういうことって、あんまり考えないほうがいい。
人生の最後って悲しいのクライマックス。
武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり。
僕は武士ではありません。
マイナスの最大瞬間に焦点を当てて生きていけるほどの鍛練を積んではいないのです。
でも、特殊現場を作ってしまう最後は悲しい。
自分の体液を、残された関係者に処理させたくないです。
それは絶対に嫌だ。
悲惨な現場を知り、生きることの重要性を知りました。
死んだことくらいには気づいてもらえるよう、死骸が放置されないよう、少しは気を使って生活していこうと思ったのでした。