ゴールデンウィークが終わって一週間が経ちました。
サラリーマンの皆さん、お疲れさまでした。
よく耐えましたね、感服いたします。
僕も去年までは同じ環境で我慢していたので、気持ちは痛いほどに分かります。
休暇明け勤務の、なんと辛いことか。
とくに、通勤電車に乗り込むときが最悪です。
うなりを上げながら駅へ到着する車両。
押し込まれるように乗車した僕を乗せ、出発。
行く先はレールによって決められています。
まるで僕の人生のように。
車内に詰め込まれたサラリーマン。
逃げ場はありません。
せめて座席を確保して優越感に浸ることが精一杯なのです。
僕は乗車する電車を固定していました。
同じ時間の、同じ車両に乗り込みます。
早めにホームに到着しても乗り過ごし、遅れそうだったら駅まで走る。
同じ乗客が乗っているからです。
毎朝同じ電車に乗車している人。
猛者です。
必ず座席を確保するという熱意に溢れています。
そして実際に、毎朝座席に座っているのです。
僕は猛者を利用することにしました。
いつも座席を確保していて、僕の目的地よりも早く降りる人がいます。
同じ車両に乗り続け、10名ほどの理想人物を把握することが出来ました。
乗車時の乗り降りのどさくさに紛れ、その人たちの座席前まで滑り込む。
猛者が降りる駅で、入れ違いに座席を確保することが可能なのです。
猛者戦略を採用しているのは僕だけではありません。
早めに下車する猛者の座席前には、すでに先客がいることが多い。
恐ろしいことに、こちらも同じ顔ぶれです。
さらに、僕の乗車駅にも猛者の座席を狙っている人がいることが分かりました。
電車に乗るときには、すでに場所取り合戦が始まっているのです。
判断は一瞬です。
少しでも出遅れたら優良猛者は確保されてしまいます。
僕は考えました。
スマホのアプリに、乗客の特徴をメモしておく。
メモの中身は、こうです。
<超優良猛者>
50歳代後半女性 白髪交じり肩まで2つ分け
30歳代後半男性 短髪メガネ細身
40歳代前半女性 ポニー身体大きめ
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<準優良猛者>
40歳代後半男性 四角顔茶染め
40歳代女性 ミドルウェーブ茶色
50歳代男性 紳士白髪スポーツメガネ
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<不良猛者>
40歳代男性 茶色含む後ろ撫でつけ
40歳前半女性 メガネショートふくよか
50歳代前半男性 七三分け身体ガッシリ
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<優良猛者>とは次の駅で降りる人、<準優良>はその次です。
<不良猛者>は、僕より先の駅で降りる人ですね。
僕は毎朝の乗車前、このメモを一読して頭の中を整理し、車両での立ち位置確保に臨むようにしていました。
・・・。
なんて狂っていたんだ。
こんなことで大切な1日を始めるなんて間違っている。
そして、それを歪んだ行為だとすら認識していなかった僕がいたのです。
このメモは僕のスマホのなかに、今も残っています。
狂気のサラリーマン時代の象徴として、保存しておこう。
そして定期的に見直そうと思います。
車両内での立ち位置整頓のためではありません。
狂った世界に戻らないための戒めなのです。
帰宅時にも常軌を逸した行動を取っていました。
やはり、正気の沙汰だとは思えません。