職業を聞かれると返答に困ります。
この社会では、働いていないって珍しいことらしい。
口頭での会話だったら誤魔化しておけば大丈夫です。
「まぁちょっと、、」とか「いろいろとやっていまして、、」とか。
モゴモゴしておけば、それ以上の詮索は受けずに済みます。
参ってしまうのが書類に記載しなければいけないときです。
学校への提出書類やカード会社の審査。
病院のカルテでも要求されて、どういうことですか?
サラリーマンと書いたらストレスを心配してもらえて丁寧に検査が行われるのだろうか。
退職当時は「無職」と書き入れていました。
嘘をつくようなことではないからね。
正確に返答すると「投資家」や「資産生活者」というのが適当なのだとは思います。
でも、さすがにそれはない。
レア度が高すぎる。
怪訝に扱われるのが目に見えているし、財産を目当てに襲われたら困ります。
少し学習し、「その他」の選択肢が用意されている場合は「その他」を選ぶようになりました。
「その他」とありますが?と聞かれたときには、ちょっと複雑な収入源を持っていまして、、と返しておけばそれ以上は聞かれません。
担当者は曖昧な笑みを浮かべながら、別室へと戻ってくれることでしょう。
自由記入の際には空白にしておきます。
ほとんどの場合はそのまま流してくれるので、何事もないように振舞えば大丈夫です。
それでも、詳細を聞かれる場合があります。
行政窓口や銀行への提出資料など。
自己申告でしかない情報を聞いて、なにがしたいのだろう。
面倒なので「無職」だと告げるようにしています。
以前のようにおどおどとではありません。
堂々と告げるのです。
働いていない、と。
憲法の「勤労の義務」は果たしていませんが、犯罪は犯していません。
皆が辟易している労働から解き放たれている状態。
自慢したっていいくらいなのです。
僕は、自ら決心して会社を辞めました。
知らぬ間に組織に捉われていき、自己を埋没させるのはおかしいと思ったのです。
正しい道を歩こうと選んだ「無職」。
卑下することはありません。
むしろ、誇ったっていいくらいなのです。
でも、無職だと言うと、やっぱり腫れ物に触るように扱われてしまう。
やっぱり、なるべく誤魔化しておこう。
どうしても伝えなければならないときには、蚊の鳴くような声で職業の申告をしようと思います。