世の中には色んな人がいます。
昆虫が好きな人。
我が家の長男です。
バッタが飛び跳ねると追いかける。
僕は虫があまり好きではないのですが、捕まえたノコギリクワガタを飼わせてくれとせがむ子どもを無下には出来ません。
しかも虫を飼うことは人格形成にも有効だそうです。
昆虫の生き死を間近で見ることによって生命の大切さを学ぶらしい。
昆虫飼育を通らないとネコとかイヌとかの哺乳類をイジメるようになり、最悪の場合は対象が人間へと移行すると聞きました。
こっわ。
クワガタムシで順調に育ってくれるなら安いものです。
虫カゴと昆虫マットを購入し、飼育本も揃えました。
昆虫を愛する人たちのルポルタージュも手に入れたので読んでみます。
「クワバカ」です。
本書ではクワガタムシを愛している人たちに脚光を当てて取り上げています。
クワガタ愛好の世界が深いことは知っていましたが想像以上でした。
少しでも大きな個体を採ることを至上の悦びとし、現地に移住してクワガタの森を掻き進む採集屋。
クワガタ相撲のために数十万円もする個体を購入して勝負に挑む闘クワガタ士。
産地と血統をかけ合わせ大きさと美しさを求め続けるブリーダー。
色んなクワガタの愛し方があり、それぞれがクワガタ活動に人生のすべてを賭けています。
結婚や仕事などといった人生イベントに目をくれることなく、クワガタの沼へと嵌っていくのです。
すごい世界があるものだ。
興味がある人は本書を読んでみてください。
ノンフィクションの記録として貴重な文献だと思います。
夢中になることの素晴らしさを感じました。
クワガタをすべてに優先させる。
バカバカしいのに、なぜか羨ましいのです。
永遠の少年。
終わらない夏休み。
分別を付けることが大人になることなのだとしたら、本書に登場する人たちは大人になれていません。
それでいいのではないだろうか。
なれなかったのではなく、ならなかった。
愛したもののためにすべてを賭けるのです。
めちゃくちゃカッコイイ。
何を失っても構わないと思える黄金の時間。
僕だったら家族です。
クワガタ屋たちがどこまでもクワガタに嵌っていくように、僕も家族のことを止めどなく愛し続けようと思ったのでした。
それ以外にも夢中になれることがあると素敵ですね。
全てをかけられる大事なもの。
僕の夏休みを取り戻そうと思います。